100万円の空き家を買うのに仲介手数料が33万円?! 2024年法改正「空き家特例」の仕組みを分かりやすく解説

100万円の空き家を買うのに仲介手数料が33万円?!2024年法改正「空き家特例」の仕組みを分かりやすく解説

100万円の空き家を買うのに仲介手数料が33万円?!
2024年法改正「空き家特例」の仕組みを分かりやすく解説

「100万円の地方の空き家を買おうとしたら、不動産会社から『仲介手数料は33万円です』と言われて驚いた」という方が増えています。

「仲介手数料って、物件価格の3%プラス6万円じゃないの? 100万円ならせいぜい数万円でしょ?」と思われるかもしれません。実は、2024年7月1日の宅地建物取引業法(宅建法)の法改正により、800万円以下の低廉(ていれん)な不動産取引において、仲介手数料の上限が「一律最大33万円(税込)」へと大幅に引き上げられました。

この記事では、この通称「空き家特例(低廉な空家等の媒介特例)」の仕組みについて、なぜこのような大増額が認められたのか、国交省の狙いや現場の事実を交えて、分かりやすく解説します。

Q. 100万円の空き家を買う(売る)のに、33万円の仲介手数料を請求されました。これって違法ですか?
A. 完全に「合法」です。
2024年7月1日以降の契約であれば、国土交通省の告示例に則った正規の報酬上限額となります。
かつての古い計算式(3%+6万円+消費税など)では、100万円の物件の仲介手数料は法律上「5万5,000円(税込)」が上限でした。しかし、法改正によって物件価格が100万円であっても、500万円であっても、800万円以下であれば不動産会社は最大33万円(税込)まで請求できるルールへと変わっています。

1. なぜここまで上がった?法改正の背景にある「空き家問題」のリアル

国が仲介手数料の上限をこれほどまでに引き上げた理由は、国内で深刻化する「空き家問題の解消」にあります。

総務省が発表した調査では、全国の空き家数は過去最多の900万戸に達し、空き家率は13.8%と過去最高を記録しました。

これまで、多くの不動産会社は「安い空き家」の仲介を敬遠してきました。その理由は、不動産会社のビジネスモデルにあります。

事実:従来の計算式が生んでいた「赤字リスク」

不動産業界の労働力は、1億円の物件を売るのも、100万円の空き家を売るのもほとんど変わりません。現地調査、役所での権利関係や法令の確認、契約書の作成など、膨大な手間がかかります。

従来の法律(原則)で計算した場合の、物件価格ごとの仲介手数料の上限を見てみましょう。

物件価格 従来の仲介手数料(税込) 2024年7月以降の手数料上限(税込)
100万円 55,000円 330,000円
300万円 154,000円 330,000円
500万円 231,000円 330,000円

このように、100万円の物件を丸1か月かけて売買成立させても、不動産会社に入る報酬はわずか5万5,000円でした。これでは交通費や人件費、物件調査にかかる経費(公図や登記簿の取得費用)だけで確実に赤字になってしまいます。

結果として、市場には「売れるのに放置されている低価格な空き家」が溢れることになりました。国はこの状況を打破するため、不動産会社がビジネスとして空き家流通に参入できるよう、手数料の上限を引き上げたのです。

2. 2024年7月改正「空き家特例」3つの重要ポイント

今回の法改正で、具体的に何がどう変わったのか。押さえておくべきポイントは以下の3点です。

① 対象が「400万円以下」から「800万円以下」に拡大

実は、2018年にも「400万円以下の物件を対象に、売主から最大19.8万円まで受け取ってよい」という特例が作られていました。今回の2024年改正では、さらにその対象が「800万円以下」まで一気に拡大されました。地方の戸建てだけでなく、都市部の古いリハビリマンションや郊外の中古住宅まで広くカバーされるようになっています。

② 金額の上限が「33万円(税込)」に一律引き上げ

金額そのものも、従来の19.8万円から33万円(税込、税抜30万円)へと大幅にアップしました。

③ 売主だけでなく「買主」からも33万円受領可能に

ここが今回の最大の変更点です。2018年の特例では「売主」からしか上乗せ請求ができませんでしたが、2024年の改正からは「売主・買主の双方」からそれぞれ最大33万円を受領できるようになりました。

これにより、100万円の物件であっても、売主・買主の双方を1社が仲介(両手仲介)した場合、最大で計66万円の報酬を不動産会社が得られるようになり、地方の空き家を取り扱う専門業者が急増するインセンティブが整いました。

3. トラブルを防ぐために!利用時の注意点

この特例は、不動産会社がいつでも誰にでも自動的に33万円を請求していいわけではありません。売買を行う際は、以下の注意点を必ず確認してください。

1. 「事前の説明と合意」が絶対条件

不動産会社が33万円の特例手数料を請求するためには、媒介契約(売買の手伝いを依頼する契約)を結ぶよりも前に、売主や買主に対して「通常の計算よりも高くなる理由」を説明し、合意を得る必要があります。
契約の土壇場になってから「法改正されたので33万円です」と一方的に請求することは認められていません。

2. 「一律33万円」ではなく、あくまで「上限」

法律が定めているのはあくまで「報酬の上限(上限を33万円とする)」です。そのため、必ずしも満額の33万円を支払わなければならないわけではありません。物件の立地や状態、調査の手間などに応じて、不動産会社と事前の価格交渉を行う余地は残されています。

専門家からのアドバイス:33万円は「高い」のか?

購入者や売却を希望する側からすれば、100万円の物件に対して33万円の手数料は、割合で見ると「33%」に達するため非常に高く感じられるはずです。

しかし、不動産実務の視点から見ると、「33万円支払うからこそ、安全でトラブルのない取引ができる」という側面があります。

低価格な空き家ほど、以下のような深刻なリスクが隠れているケースが非常に多いのです。

  • 隣の家との境界線が曖昧(境界紛争リスク)
  • 建物の見えない部分がシロアリや雨漏りで腐食している(雨漏り・構造欠陥リスク)
  • 昔の配管が隣の敷地を通って引き込まれている(越境配管トラブル)

これらを不動産のプロ(宅地建物取引士)が役所や現地で徹底的に調査し、売買契約書(重要事項説明書)に落とし込んでくれる対価が「33万円」です。もし手数料をケチって個人間売買などを行い、購入後に100万円以上のリフォーム費用や近隣トラブルが発生すれば、それこそ大損になってしまいます。

この法改正により、今まで「お金にならないから」と断られていた地方の優良な空き家物件が、大手の不動産ポータルサイトにも流通しやすくなりました。賢くプロの力を借りるための「必要経費」として、この新制度を正しく理解し、安心な空き家再生・マイホーム獲得を進めていきましょう。

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