不動産売買の「登記費用」はいくらかかる?売主・買主の負担割合と絶対に隠せない全内訳

不動産売買の登記費用はいくらかかる?売主・買主の負担割合と絶対に隠せない全内訳

不動産売買の「登記費用」はいくらかかる?売主・買主の負担割合と絶対に隠せない全内訳

不動産を売買する際、物件価格そのものに目を奪われがちですが、引き渡し当日に現金(または振込)で支払わなければならない「登記費用」という大きな諸費用が存在します。

「登記費用は一括してどちらかが払うの?」「一体、いくら用意すればいいの?」と直前になって慌てるケースが後を絶ちません。

本記事では、不動産売買における登記費用について、売主・買主それぞれの負担額、具体的な計算シミュレーション、そして費用を抑えるポイントを、不動産のプロの視点から徹底的に解説します。

不動産売買の登記費用に関する疑問に答えます

皆様からよく寄せられる「登記費用」の疑問について、まずは結論からダイレクトにお答えします。

Q1. 登記費用は「売主」と「買主」どちらが払うのですか?

A. 原則として、それぞれの目的に応じた登記を双方が別々に負担します。一方が全額を負担するような性質のものではありません。

日本の商習慣(不動産流通近代化センターの標準契約書など)において、以下の通り負担割合が明確に定められています。

  • 売主の負担: 物件を綺麗にして引き渡すための費用(住所変更登記や抵当権抹消登記)
  • 買主の負担: 物件の権利を自分のものにし、ローンを組むための費用(所有権移転登記や抵当権設定登記)

Q2. 登記費用の合計額(相場)はいくらくらいですか?

A. 買主は「10万円〜50万円程度(一戸建てやマンションの場合)」、売主は「1万円〜3万円程度」が一般的な相場です。

買主の費用が圧倒的に高い理由は、物件の価値(評価額)に応じた「登録免許税」という税金を国に納める必要があるためです。一方、売主の登記は手続きごとの定額課税(1件1,000円)がメインとなるため、数万円に収まります。

Q3. 登記費用の中に含まれる「司法書士報酬」の相場は?

A. 買主側の複雑な登記(移転+設定)で「5万円〜15万円」、売主側の登記(抹消のみ)で「1万円〜2万円」が相場です。

司法書士への報酬は、2002年(平成14年)の報酬規定撤廃以降、各事務所が自由に価格設定を行っています。そのため、依頼する事務所や手続きの難易度によって変動します。

登記費用の「売主・買主」負担内訳一覧表

直前で資金ショートしないために、まずは全体像をお見せします。売主と買主で発生する登記費用とその内訳は、以下の表の通り完全に分かれています。

役割 発生する登記手続き 費用の内訳 相場・目安
売主
(売却側)
① 登記名義人住所・氏名変更登記
(住民票の住所と登記簿の住所が違う場合)
登録免許税(不動産1個につき1,000円)
+司法書士報酬
10,000円 〜
25,000円程度
② 抵当権抹消登記
(住宅ローンが残っている家を売る場合)
登録免許税(不動産1個につき1,000円)
+司法書士報酬
15,000円 〜
30,000円程度
買主
(購入側)
③ 所有権移転登記
(必須:不動産の権利を自分の名義にする)
【高額】登録免許税(固定資産税評価額×税率)
+司法書士報酬
10万円 〜
40万円程度
④ 抵当権設定登記
(住宅ローンを利用して購入する場合のみ)
【高額】登録免許税(借入金額×0.4% ※軽減あり)
+司法書士報酬
5万円 〜
20万円程度

売主の登記費用:なぜこれが必要なのか?

売主が支払う登記費用は、一言で言えば「物件のマイナス要素をゼロにして、綺麗な状態で買主に引き渡すための費用」です。法的な事実(不動産登記法)と合わせて解説します。

1. 登記名義人住所・氏名変更登記(事実:義務化の開始)

購入時(過去)に登録した売主の住所・氏名が、現在の住民票(売却時)と1文字でも異なっている場合、そのままでは買主への名義変更(所有権移転)ができません。そのため、前提として現在の住所に直す登記が必要です。

プロの視点(2026年現在の重要事実):

2026年(令和8年)4月より、法改正に伴う「住所・氏名変更登記の義務化」がスタートしています。今後は住所や氏名が変わってから2年以内に変更登記をしないと「5万円以下の過料(ペナルティ)」の対象となるため、売却時に限らず速やかに手続きを行うことが求められます。

  • 事実(税金): 登録免許税は土地1筆につき1,000円、建物1棟につき1,000円です。一般的な一戸建て(土地1、建物1)なら2,000円です。
  • 解説(報酬): 自分で行うことも可能ですが、売買当日に確実に所有権を移転させるため、不動産会社からは司法書士への一任を求められます。報酬は1万円〜1.5万円程度です。

2. 抵当権抹消登記

売主が対象物件の住宅ローンをまだ完済していない(または売却代金で当日に完済する)場合、銀行が設定している「抵当権(担保)」を外す必要があります。

  • 事実(税金): 登録免許税は不動産1個につき1,000円です。土地と建物で計2,000円となります。
  • 解説(手続き): ローン完済当日に銀行から抹消書類一式(委任状や解除証書)が発行されます。これを司法書士が確認し、売買当日に管轄の法務局へ抹消申請を行います。報酬相場は1万円〜2万円です。

買主の登記費用:金額が跳ね上がる理由

買主の登記費用は、売主に比べて桁がひとつ変わります。それは、国に納める「登録免許税」が、物件の価値やローンの借入額に比例して課税される仕組みだからです。

1. 所有権移転登記(売買による名義変更)

不動産の所有者が売主から買主へ変わったことを公的に証明するための、最も重要な登記です。

  • 事実(税率): 本則の税率は土地が2.0%、建物が2.0%です。しかし、財務省および国税庁の定める租税特別措置法により、一戸建てやマンションなど「自らが住むための住宅(自己居住用要件)」に対しては強力な軽減税率(特例)が設けられています。
  • 解説(軽減の条件): 2026年現在も適用される軽減措置として、床面積50平米以上、築年数要件(新耐震基準に適合していること)などを満たせば、建物の登録免許税率は0.3%(長期優良住宅等は0.1%〜0.2%)にまで引き下げられます。また、土地に関しても売買による移転は特例で1.5%に軽減されています。

2. 抵当権設定登記(住宅ローンを組む場合)

融資を行う銀行が、「もし返済が滞ったらこの家を差し押さえて競売にかけます」という権利を登記簿に記載する手続きです。現金で購入する場合は、この費用は一切かかりません。

  • 事実(税率): 本則の税率は借入金額(融資額)の0.4%です。5,000万円を借りる場合、本則通りなら20万円の税金がかかります。
  • 解説(特例): こちらも自己居住用住宅の特例を満たせば、税率が0.1%に軽減されます(5,000万円の借入なら5万円に減額)。

【具体的数字】登記費用のリアルシミュレーション

実際の不動産売買を想定し、具体的な数字を使って売主・買主それぞれの登記費用を計算してみましょう。

【シミュレーション物件・条件】

  • 物件: 新耐震基準を満たした中古一戸建て(土地1筆・建物1棟)
  • 土地の固定資産税評価額: 2,000万円
  • 建物の固定資産税評価額: 1,000万円
  • 買主の住宅ローン借入額: 4,000万円(自己居住用・軽減特例を適用)
  • 売主の状況: 引っ越し後に住所変更登記が必要、かつ現在のローン残債(抵当権)あり

◆ 売主が当日に支払う登記費用

  1. 住所変更登記: 登録免許税 2,000円 + 司法書士報酬 約12,000円
  2. 抵当権抹消登記: 登録免許税 2,000円 + 司法書士報酬 約15,000円

→ 【売主の合計金額】 約 31,000 円

◆ 買主が当日に支払う登記費用

  1. 所有権移転登記(土地): 2,000万円 × 1.5%(軽減) = 300,000円
  2. 所有権移転登記(建物): 1,000万円 × 0.3%(軽減) = 30,000円
  3. 抵当権設定登記(ローン): 4,000万円 × 0.1%(軽減) = 40,000円
  4. 司法書士報酬一式: 移転・設定および日当一式 = 約 110,000円

→ 【買主の合計金額】 約 480,000 円

このように、同じ一つの売買取引であっても、買主は約48万円、売主は約3万円と、負担する金額の規模が全く異なる事実がわかります。

まとめ&専門家からのアドバイス

不動産売買における登記費用は、売主・買主の双方がそれぞれの目的に応じて負担するものであり、特に買主側は「登録免許税の軽減特例が適用できるか否か」によって、数十万円単位で金額が変わります。

引き渡し日(決済日)の直前になって「こんなに現金が必要だなんて知らなかった」とパニックにならないよう、売買契約を結ぶ前の段階で、必ず「登記費用の概算見積書」を不動産会社に請求し、資金計画に組み込んでおきましょう。

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